「足が遅いからサッカー向いてない?」は大きな勘違い。小学生のうちに知るべき、俊足選手を置き去りにする“3つの初動・予測力”
「運動会の徒競走でもいつも後ろの方だし、うちの子は足が遅いからサッカーに向いていないのかも……」
「足の速い子に一瞬で追いつかれてボールを奪われる姿を見ると、親としてもどかしくなってしまう」
小学生のジュニアサッカーを見守る保護者の方から、本当によく受ける相談がこの足の遅さへのコンプレックスです。
特に小学校低学年から中学年にかけては、身体の成長が早い子や足の速い子がピッチを独走してゴールを決める場面が目立ち、「足の速さこそが正義」に見えてしまうのも無理はありません。
しかし、育成の現場で多くの選手を見てきたプロの指導者は、全員揃ってこう断言します。
足の速さと、サッカー選手としての将来の伸びしろには何の関係もないと。
今回は、なぜ「足が遅い=サッカーに向いていない」が大きな勘違いなのか、そして足の速い相手を子どもがいとも簡単に置き去りにできるようになる3つの初動・予測力を詳しく解説します。
【結論】「50m走の速さ」と「サッカーの速さ」は全くの別物
まず知っておきたいのは、運動会で測るような陸上競技のスピードと、サッカーで求められるスピードは根本的に異なるということです。
| 項目 | 50m走(陸上) | サッカーのスピード |
|---|---|---|
| 走る距離 | 直線50メートル | 3〜10メートルの短距離 |
| スタート | 合図を待って一斉に開始 | 状況を見て自分で判断 |
| 身体の向き | 常に正面を向いて加速 | 前後左右、斜めに急反転 |
| 決定打 | 筋力とストライドの大きさ | 1歩目の反応と相手の逆を取る技術 |
サッカーの試合中、全力で50mを直線ダッシュするシーンは1試合に数回あるかどうかです。
実際にピッチ上で勝負を分けるのは、最初の1歩〜3歩のスタートの早さ(初動)と、ボールが届く前に周囲を見て動く予測のスピードです。
世界のトップレベルを見ても、スペイン代表で一時代を築いたシャビやイニエスタ、ブスケツ、そして日本代表のレジェンドである遠藤保仁選手などは、50m走を測れば決して速い選手ではありませんでした。
それでも彼らが世界最高のプレーヤーとして君臨できたのは、足の速さを必要としないピッチ上の知性と技術を持っていたからです。
足が速い子ほど小学生高学年でぶつかる「スピードの壁」
むしろ育成の現場では、低学年のうちに足が速すぎることが、将来の成長の罠になるケースが少なくありません。
- 技術や駆け引きを覚えずに済んでしまう:相手の逆を取らなくてもスピードだけで強引に突破できてしまうため、トラップの正確さやパスの判断を磨く機会を逃しやすい。
- 高学年〜中学生でフィジカル差が縮まると通用しなくなる:周囲の選手が追いつき、相手チームが組織的にスペースを消すようになると、直線的なドリブルは簡単に止められてしまいます。
一方で、足が遅い子は、低学年の頃から「どうすれば足の速い子に追いつかれないか」「どこに立てば安全にボールを受けられるか」を自然と頭を使って考え始めます。
小学生の間に身につけたその状況判断と技術の土台こそが、中学生・高校生になったときに大化けする最大の原動力になります。
足が遅い子が俊足選手を翻弄する「3つの初動・予測力」
では、足の遅い子どもがピッチ上で俊足選手に勝つためには、具体的に何を身につければよいのでしょうか。
効果てきめんなのが次の3つのスキルです。
① 相手が動けない方向へボールを置く「ファーストタッチ」
足の速いディフェンダーは、相手がトラップした瞬間を狙って猛スピードで突っ込んできます。
このとき、足元にボールをピタッと止めてしまうと、相手のスピードの餌食になります。
ボールが来る前に相手の走ってくる勢いを見て、相手の重心と逆方向へツンと1メートルだけボールを逃がすファーストタッチができれば、俊足の相手は自分の勢いで勝手に通り過ぎていきます。
② 1歩目の爆発力を生む「予備動作(重心の浮かせ方)」
足が遅いと感じている子の多くは、実は足の筋力が弱いのではなく、足の裏全体をペタッと地面につけてベタ足で立っていることが原因です。
味方がボールを蹴る直前に、両足のかかとをほんの少し浮かせ、軽く小刻みなステップ(プレジャンプ・スプリットステップ)を踏む習慣をつけます。
これだけで、行きたい方向へ体重がスッと傾き、最初の1歩目がコンマ数秒早く踏み出せるようになります。
③ 相手より2秒早く動き出す「首振りと事前のポジショニング」
陸上競技の100m走で2秒早くスタートできれば、どんなに足が遅い人でもウサイン・ボルトに勝てます。サッカーではそれが許されています。
ボールホルダーと相手ディフェンダーがボールに見とれている間に、ボールが来そうなスペースを首振りで先回りして確認し、相手が気づく前に数歩だけポジションを移動しておくのです。
「相手より先に走り出している」状態を作れれば、足の速さ比べをする必要すらなくなります。
「足が遅いから」と落ち込む子どもに親がかけたい言葉
試合で足の速い子に競り負けて帰ってきたとき、子ども自身も「足が速ければ追いつけたのに」と自分の身体に自信をなくしています。
そんな時、親御さんが「もっと速く走りなさい!」と叱ってしまうのは絶対に禁物です。
かけるべき言葉は、走るスピードではなく、走る前の良い判断や工夫を見つけて褒める言葉です。
- 「相手が来る前に周りを見て、フリーな味方に早くパス出せたのすごく賢かったよ!」
- 「足が速い相手だったのに、身体を入れて上手にボールを守れていたね」
- 「サッカーは足の速さ競争じゃないからね。周りが見える〇〇のプレー、お父さん(お母さん)大好きだよ」
「自分には頭脳と技術がある」という自信を持たせてあげることで、子どもはスピード勝負ではない知的なサッカースタイルを磨くことに誇りを持てるようになります。
「考えるサッカー」を伸ばすには、質の高いサッカースクールが最適
所属している少年団や地域のクラブチームでは、どうしても広いコートでのゲームが中心になり、身体能力の高い子が目立ちがちです。
足の遅い子が持ち前の判断力や繊細なボールコントロールを伸ばすには、狭いスペースで判断の質を鍛えてくれるサッカースクールを平日に活用するのが一番の近道です。
- 狭いグリッド内での少人数トレーニング:長い距離を走る必要がなく、プレッシャーの中で「相手の逆を取る」「首を振って状況を把握する」技術を徹底反復できる
- ポジショニングや身体の向きの個別指導:プロの専任コーチが、足が遅くても相手に奪われない「半身の姿勢」や「ファーストタッチ」を丁寧に言語化して教えてくれる
- 失敗を咎められない安心感:試合の勝敗がないため、相手の裏を突くアイデアや新しいフェイントに何度でも思い切って挑戦できる
「足の速さだけで決まらないサッカーの面白さ」に出会えた子は、目の色が変わり、見違えるように自分らしいプレーを発揮し始めます。
よくある質問(FAQ)
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